今月のトピック バックナンバー

バランス能力

2013年2月になりました。先月の『成人の日』には関東では大雪に見舞われました。 普段雪には無縁な関東の人たちは、凍った路面で転倒して怪我をした方も大勢いたようです。 2013年は初めからかなり大変なスタートになりました。

そこで今月は転倒などを含めたバランス能力をテーマにしてみようと思います。

誰もが持っているバランス能力

子どものバランス

数年前からトレーニングプログラムにはバランスを考えた内容のものが多く入るようになりました。バランスと言うと皆さんは、片脚立ちやスポーツ(スキーやスケート)をイメージする事と思います。ですが実は日常生活の中にもバランス感覚はとても重要で身近なものでもあります。

バランス能力には大きく分けて2種類に分類できます。

一つ目は様々な姿勢を維持する静的バランスです。普通に立った時にどちらかに偏っていたり、腰が反っていたり、猫背になっていたりしていませんか?人の脊柱は重力の影響を上手く受けられるように自然なS字のカーブを描いています。筋肉のバランスが崩れていると姿勢が自然と崩れてきます。

二つ目は動きの中で目的に応じた姿勢を維持する動的バランスです。身近な例をあげると歩行がイメージしやすいかもしれません。片歩行は右足が着地した瞬間バランスを取り、その直後、上半身が前に進むことで再びバランスを失います。さらにその時に転ばないように左足を前に出すことで、体のバランスを取っています。これは筋肉や腱内にあるセンサー(感覚受容器)と中枢神経が連携しあいバランスの取れた動作を行うよう指令を出しているのです。これが動的バランスです。

日常生活の中では歩くほかにも顔を洗うための前傾姿勢をする、荷物を持ち上げる、運ぶ、掃除や階段の上り下りなど様々な身体活動が存在します。その全てが筋肉と腱の動きに対して、脳が指令をだし身体に伝えてバランスをとっているわけです。

バランス能力の低下と対策

先日の凍結した道路での転倒は、路面で滑ったことにより普段バランスをとったことのないポジションに身体が移動したためとっさに感覚受容器が対応が出来ず転倒してしまったことになります。バランス能力には性別・年齢・筋力などが関連しています。男性よりも女性がバランステストでは劣っている事が報告されています。年齢では加齢に伴い低下し、筋力レベルが低いとバランスも低下するようです。特に高齢の女性の転倒数は男性よりも多いとも言われています。その他バランス能力を低下させる要因は便利になりすぎた日常生活なども関連しているようです。運動時では高品質のシューズをはくことが関節が安定させすぎてしまったり、トレーニングでも最新式のマシンを利用することで身体がバランスを取ろうとする機能を低下させてしまうという事例もあります。子どもたちが、屋外で遊ぶ時間が以前に比べて減っているというのも要因の一つでもあるようです。

ではトレーニングは何をすればよいのでしょう。静的なバランス能力を向上させるには左右、前後、上下の筋肉を整えるトレーニングが必要です。 静的バランスが整うことは綺麗な姿勢づくりにもつながります。正しく綺麗な姿勢をつくる事で動きもスムーズになります。 その上で様々なドリルや複雑な身体活動を行い、動的なバランス能力を向上させることが出来るはずです。

バランスボール

トレーニングの一例としてはエクササイズのポジションを変えてみることです。同じ効果を期待できるエクササイズならば、寝て行うものから立って行うものへ。座って行うものから立って行うものへ。両脚から片脚へ。さらにバランスボール・バランスディスクなどのツールを利用すれば、あえてバランスのとりにくい状況をつくり出すことができます。

年齢とともに低下していくバランス能力です。今の生活を見直して今日からでも簡単なトレーニングを始めてみてはいかがですか?

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