今月のトピック バックナンバー

アイシング

楽しみにしていたサッカーワールドカップは、少々残念な結果でしたがとても熱くなることができました。4年後にまた頑張ってほしいものです。

今回は、そんなトップアスリートたちは必ず行っているであろうアイシングについて今月はお話ししようと思います。

アイシングとは

皆さんはアイシングと聞いて何を想像しますか? 一般的にはケガした直後の応急処置のイメージがほとんどではないでしょうか。 救急法にRICE処置というものがあります。 「Rest(安静)」、「Icing(冷却)」、「Compression(圧迫)」 、「Elevation(挙上―持ち上げておく)」となっており、なかでもIcing(アイシング)による、ケガをした際に患部を冷やすことは以下のような効果が挙げられます。

  1. 急激に冷やすことで患部周辺の血流量を減少させ、内出血や血腫を最小限に抑えることができます。
  2. アイシングによる局部的な体温低下で、新陳代謝が低下します。これによって細胞の壊死も最小限に抑えることができます。
  3. 正常な細胞の破壊範囲を最小限に留め、更に新陳代謝が低下する事で発痛物質の生成をも減少させます。
  4. 冷やすことで患部の感覚受容器の反応が鈍くなり疼痛を感じにくくし、麻酔的な効果が挙げられます。

ケガの直後にはとても効果を発揮するアイシングです。この冷やすという行為は応急処置以外でもとても有効です。

激しいパフォーマンスで有名なエグザイルがライブの後、冷水に浸かり疲労回復を行ない、コンディショニングの手段として取り入れていると先日マスコミで報道されていました。

アイシングのケガ以外の効用

実はアイシング(冷やすという行為)にはケガの応急処置以外にも期待できる効果があります。激しい運動や、慢性的な筋疲労などでは筋肉の温度が上昇し、血液中に乳酸(疲労物質)がたまります。筋肉中に乳酸の蓄積が多くなると筋肉の張りが起こり、痛みにつながります。筋温が上昇した筋肉に対して冷却をすることでその部分の張りや痛みを抑えると同時に、血管が収縮され一時的に血液の流れを低下させます。しかしアイシング終了後、しばらくすると血管は膨張し血流が活性化して疲労物質の乳酸を勢いよく吸収します。一度収縮させた血管を拡張し、新陳代謝が低下している組織への血流を増やし、疲労などの原因の乳酸やその他の老廃物を除去し、疲労回復を早める効果が期待できます。

プロ野球のピッチャーが投球終了後にアイシングを行っている映像は皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。これも上記のような効果を期待してのことです。

また、入浴時に冷水シャワーを利用する事で基礎代謝を上げ、ダイエットの効果も期待できます。人間は自律神経(交感神経と副交感神経)により体温調節がされています。体内には白色脂肪細胞(ため込む脂肪細胞)と褐色脂肪細胞(消費する脂肪細胞)が存在しています。両者は体温調節にも大きな関係があり、自律神経の元でコントロールされています。ゆっこうりと湯船に浸かり体温を上げた後、冷水シャワーなどでアイシングを行います。急激な温度変化を強制的に身体に与えることは、この交感神経と副交感神経のスイッチを切り替えることになります。このことにより脳は身が冷えたと認識して体温を維持・上昇させるためモードにスイッチが入ります。脳が寒さを感じることで、褐色脂肪細胞が活発に働きだし、白色脂肪細胞を燃焼して熱に変え、温めた血液を全身に送るように働き出すわけです。

アイシングを日常生活に取り入れよう!

冷水浴や冷水シャワーを浴びることも広義な意味でのアイシングと考えれば、疲労回復やダイエット、またはお肌のケアなどにも良いといえます。急激な温度の変化がありますので心臓に疾患がある方や、血圧に問題がある方はあまりお勧めはできませんが、救急処置以外でのアイシングを試してみてはいかがですか。

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