今月のトピック

体温の話

2月になりました。1か月がたつのが本当に早く感じます。などと言っていると1年が経つのも早いものです。新型コロナウィルスが感染拡大して以来、職場や学校、様々な施設利用の際には必ず検温をすることが習慣化してきました。以前より自身の体温に気を付けている人が増えていることと思います。今月は人の体温について触れてみようと思います。

体温を計る園児

体温て何でしょう?体温は身体のなかで起きている化学反応(代謝)の結果として発生する熱(熱産生)と、体外に逃げていく熱(熱放散)のバランスの結果、一定の範囲に調節・維持されているもので、生命の維持に欠かせないものです。私たちが日々、口にしている食べ物は、身体のなかで必要な栄養素に分解され、細胞が活動する時に必要なエネルギーに転換されたりしています。このような身体のなかで起きている化学反応のことを代謝といいます。代謝の過程で熱が発生します。

一方、発生した熱は周囲の環境に逃げていく(放散される)ため、身体のなかの温度が上がりっぱなしになることはありません。熱産生と熱放散のバランスが取れていると、体温は一定に保たれます。人の身体は環境に合わせて体温調節する機能が備わっていて、10℃や20℃の気温変化なら順応して生活することができます。ですが体温そのものの変化の許容範囲は、あまり広くありません。体温が34℃以下になると低体温症になり生命の危機となります。反対に43℃を超えてしまうと生命維持は難しいとされています。このように体温調節は、私たちが生きていくうえで、絶対的に必要でとても重要な機能と言う事になります。

夏場の熱中症など体温の上昇に伴って体調が悪くなるという認識は多くの人が持っていると思います。では反対に低体温の場合はどうでしょう?36度未満の軽度の低体温でも、免疫力が低下し、感染症や脳血管障害、糖尿病など、身体に様々な不調が出やすくなる可能性があるといわれています。疲れやすくなったり、風邪をひきやすかったり、また風邪がなかなか治らないといった症状や肺炎、インフルエンザのリスクも高まります。やはり低体温の場合もリスクはかなりあるようです。

人の体温は何度が正常でしょう。人によって平熱は異なります。ここ数年、毎日検温をすることで、自身の体温がどのくらいなのか認識しているのではないでしょうか。私も学校に毎日行くので検温をしていますが、35.8℃~36.2℃辺りが平熱ではないかと感じています。日々の検温で差があることは当然で、運動、時間帯、気温、食事、睡眠、感情の変化などによりつねに変動しています。また年齢によっても差はあります。子どもの平熱はやや高く、高齢者はやや低めです。

さらに日本人と外国人の体温にも差があるようです。外国人は真冬でも半袖で歩いていたりなど寒さに対して強いようにも思います。推測ではありますが日本人と外国人の体温の違いをいくつか示されています。皮膚から汗を出す部分を汗腺と呼びます。その数は日本より平均気温の高い地域のフィリピン人では280万個、日本人は230万個、反対に気温の低い国のロシア人は190万個あるといわれています。汗腺の数が少なければ熱を逃がしにくい身体であり体温の低下が低くなると言えます。とすると日本より暑い国の人では体温は低く、寒い国の人では体温は高くなる傾向にあると言えます。

体温計

そして気温の他にも日本では湿度の高さが関係していて、高温多湿の環境に適応する体温になっているともいわれています。その他、脂肪のつき方、体毛の濃さ、赤血球の数や筋肉量の違いなど、たくさんの項目が要因として考えられます。そう考えてみると私が勤務しているスキー場でもオーストラリア人の男性が雪の中をTシャツで歩いている姿を何度も目撃しています。(゚Д゚;)
話を戻しますが、日本人の平均体温は何度なのでしょうか?

10歳から50歳前後の健康な男女3,000人以上の体温の平均値は、36.89℃±0.34℃(ワキ下検温)のようです。とすると私はかなり低体温であると言えます。37℃が日本人の中では発熱の境界域のようになっていますが37℃は全く問題のない体温であるようです。むしろ日本人の7割くらいは、体温が36.6℃から37.2℃の間だといわれています。感染症法では37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と分類しています。

ところで体温はどこで測りますか?今までは脇の下で測るのが最も多かったのではないでしょうか。最近ではデジタル体温計で『おでこ』や『手首』などで測ることが増えていると思います。これは正確な値が測れるのでしょうか?体温は測る場所によって差が生じ身体の表面か内部かによっても異なります。また、表面であれ内部であれ、どの場所かによっても異なります。体の内部の温度を中心(コア)温、体表近くの温度を被殻(シェル)温といいます。コア温は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために高く安定しています。通常の環境(25℃前後の気温で薄めの衣類を身に着けた、暑くも寒くもない状態)におけるコア温は37℃前後で、若い成人の男性ではほとんどの人が±0.3℃の範囲に入るそうです。一方、シェル温は、体表から熱を放散されるためコア温より低くなります。とくに外界と接している皮膚の温度は低く、32~33℃前後です。また、個人差が大きく、同じ人でも部位によって大きな違いがみられるようです。普段の検温でもコア温が大事ではある訳ですが簡易的に行うことを考慮すると『おでこ』や『手首』などででの測定になると言う事です。

新型コロナウィルスやインフルエンザの他にも扁桃腺や咽頭炎身体の不具合には発熱はつきものです。健康管理の基本として自分自身の平熱を把握する事、熱に関する正しい知識を持っておくことも重要です。

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