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足の裏の話
11月になりました。今年ももあと少しで終了ですね。
私が4月から担当している高校女子バレー部の3年生最後の大会でもある春高バレーの予選が始まります。
日ごろから選手たちが足の裏、足の甲の痛みを訴えることが多く、一般的にも足の裏が要因になる傷害も多いので今月は足の裏のお話をしてみようと思います。
足の裏と言うと、昔から偏平足という言葉は誰もが聞いたことがあると思います。いわゆる足の裏の土踏まずがつぶれて床や地面に着いてしまうような形状のことです。ほとんどの人がここは理解していると思います。
ですが偏平足が引き起こす傷害については知識はほぼゼロで、せいぜい他人より足が疲れることが多いと思っている方がほとんどではないでしょうか?確かに間違いではないのですが、足の裏(足底)についてはそれだけではなく、かなり重要なポイントが隠れているのです。
まずは足底の構造を見てみましょう。
足底は3つの形状で構成されています。それぞれ①横アーチ ②内側縦アーチ ③外側縦アーチになります。
3つのアーチは骨格、筋肉、筋膜、靭帯、腱などで形成され、歩行、走行、跳躍などの運動時に推進力を生み出す重要な役割を持っています。先天性の骨格異常、サイズの合わないシューズの着用、足底またはそれ以外の部位のケガや運動ストレスなどによって本来の形状を維持できず変形してしまいます。変形が激しくなるとスポーツはもちろん日常生活にも影響が出てしまいます。
足底の変形パターンとしては次のようなものがあります。
- ① 偏平足
- 縦アーチが低下・消失し、足底が平らになった状態を言います。
- ② ハイアーチ
- アーチが通常よりも高く、足の甲が高い状態を指します。足の指の根元部分に重さが集中し、痛みやたこが生じやすくなります。また、アーチの柔軟性が低下するため、衝撃吸収がうまく行われない可能性が高まります。
- ③ 外反足
- 内くるぶしが過剰に内側に倒れ込んだ状態です。歩行や跳躍の着地時に衝撃吸収が不十分になります。 扁平足を伴うことが多く、その場合、外反扁平足と呼ばれます。

- ④ 開帳足
- これにより、指先部への負担が大きくなります。痛みを伴うことがが多く、皮膚が硬くなって厚みを増し、たこができることがあります。サイズの合わないシューズが要因で、特にハイヒールでは重心が指先部分になるため横アーチへの過度なストレスが発生します。開張足の人は、外反母趾になるリスクが増えます。

上記のような足底アーチの変形、機能低下によりおきる傷害は足底の痛みのみならずたくさんの影響をもたらします。
- ① 足底筋膜炎
- 足の裏にある足底筋膜に炎症が起き、かかとや土踏まずに痛みが生じます。
- ② 有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)
- 足の内側にある外脛骨という過剰な骨が突出して、痛みや腫れを引き起こします。
- ③ 後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)
- 土踏まずを形成する後脛骨筋の腱に炎症が起き、足の内側に痛みが生じます。
- ④ シンスプリント
- 脛骨周囲に痛みが生じる、ランニング障害の一つです。扁平足は下腿に負荷をかけるため、発症リスクを高めます。
- ⑤ 足底や足の甲の痛み
- 衝撃が適切に分散されず、かかとや前足部、足の甲に負荷が集中します。
- ⑥ タコ・ウオノメ
- 負荷が集中する部分の皮膚が硬くなり、タコやウオノメができやすくなります。
この他にも膝・股関節・腰の痛み: 足のアーチの崩れが全身のバランスを悪化させ、膝や股関節、腰にも影響を与えることがあります。
実際に私が関わっている女子の選手達も上記にあげた傷害がいくつも発症しています。そのほとんどがオーバーユースとケア不足によるものです。今では練習後のケアの徹底をメインに崩れてしまった足底アーチの再形成のためのトレーニングを行い改善に努めています。
今月は3年生が最後の大会になります。ベストなコンディションで出場してもらいたいと思います。