トピック
最近の断食事情について
そろそろ梅雨の時期に入ると思いますが、5月の週末はほぼすべて雨でした。6月はどうでしょうか?ビーチバレーのシーズンでもあるのでできるだけお天気には期待したいところです。
先日大阪万博に行ってきました。人が多すぎて目当てのパビリオンには入ることができませんでした。
今月のテーマは断食についてです。
もともとは宗教的な儀式の一つです。皆さんもイスラム教のラマダンなどは聞いたことがあると思います。最近では身体に対して様々な影響があるとされ、ちょっとしたブームにもなっています。
実は宗教的な断食は水分、固形物などを全くとらないことが多いようです。近年のファスティングは少し意味合いが変わってきています。
身体的に良い変化が得られるように医学的な根拠に基づき、期間や摂取物を設定して行われることが多く、医者の指導で行われることもあるようです。もともとの宗教的儀式とはかなり内容も変わってきています。
ではファスティングにはどのような効果があるのでしょうか?次のような効果が期待できます。
- ① 内臓の休息
- 消化器官を休ませることで、内臓の負担を減らし、腸内環境を整え、便秘の解消や消化機能の改善が期待できます。
- ② ダイエット効果
- 食事の制限によって、体内の糖質や脂肪をエネルギー源として利用するため、体重の減少が期待できます。
- ③ インスリン感受性の向上
- 血糖値の安定化に寄与し、インスリン感受性を向上させる効果があります。
- ④ 肌荒れ改善
- 腸内環境が整うことで、肌荒れやニキビの改善効果が期待できます。
- ⑤ 睡眠の質の向上
- 内臓の負担が減ることで、睡眠の質が向上し、ぐっすり眠れるようになります。
- ⑥ 自律神経のバランス改善
- 腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便秘の改善や自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
- ⑦ 脳機能の向上
- 脳の活動を活発にし、認知症予防にも効果が期待できます。
- ⑧ 味覚のリセット
- 食の好みが変わり、食生活の改善につながることがあります。
効果に期待できるファスティングにはいくつかの方法があります。
- 断続的ファスティング(Intermittent Fasting)
- 1日の中で時間を設定して食事を摂らない方法(16時間断食)
- 完全ファスティング
- 一定期間(24時間以上)一切の食事を摂らない方法。
- 部分ファスティング
- 特定の食品やカロリーを制限する方法。
最近は断続的ファスティングがネットや書物などでも話題となっています。断続的なものの中にも方法はいくつかあるようです。
- 16時間断食:24時間のうち16時間は何も食べず、残りの8時間で食事をする。
- 週末断食:週末のみ、固形物を摂取せずに水分のみを摂取する。
- 朝食抜きのプチ断食:朝食を抜いて、残りの時間で食事をする。
上記した16時間ファスティングは比較的実践しやすいかもしれません。
具体的な方法としては、
一日のうち食事をしてもよい時間を8時間程度に設定します。
その8時間内で朝食・昼食・夕食の3回の食事時間を決めて、リズムよく食べます。
生活のリズムと合わない場合などは無理をせず、食事をしてもよい時間を12時間に伸ばすなどの対応策を入れても構いません。食事可能時間は自由に選択できますが、栄養学の観点では、朝食は身体が目覚めるために重要な存在とされていますのでマストです。
また、体内リズムを整える観点からも、3食の時間をそれぞれ設定し継続してみましょう。
そしてこの16時間ファスティングにはもう一つ大きな効果が期待されます。それはアンチエイジング(若返り)効果です。オートファジーという現象が体の中で行われていますが、これは細胞内の不良タンパク質の自食・浄化作用のことです。
もう少し具体的に言うと胃袋が空になると、血糖値が下がり物理的にも生理的にも空腹感が高まります。
最後の食事から12時間程度経過すると、全身の細胞に栄養が行き渡らなくなり、細胞までもが飢餓を察知し始めます。
飢餓状態に陥った細胞は、自らの細胞内でなんとか栄養を賄うために、細胞の中にある劣化や故障してしまった部分の分解をしはじめます。また体内でその部分が再利用できるようにリサイクルするモードを発動します。
こうして細胞自身の力で全身の細胞がリフレッシュされて若返りが起こるのです。最近では、体内に侵入した悪い病原菌の分解もおこなわれることで、免疫力の向上までも期待できると分かってきました。
オートファージーは過酷な環境下で強いストレスを受けても生き残れるようにと細胞レベルで組み込まれた機能です。サバイバル能力といえるべき能力の活性を促すには、16時間断食はかなり効果的です。
様々な効果が期待できる最近の断食ですがやはりリスクもあることは間違いありません。
低血糖や低血圧、めまい、倦怠感、頭痛などの身体的な問題を引き起こす可能性があり既存の健康問題を悪化させる場合もあります。
心理的な影響:食事を制限することがストレスや不安を引き起こし、摂食障害のリスクを増加させる可能性があります。
16時間ファスティングの実践に適さない人として以下となります。
- 体格指数.BMIが20以下でやせ型に該当する人
- 運動経験に乏しく、体力がない人
- ハードなトレーニング直後で、リカバリーや筋肥大を求めるアスリート
- 妊婦、授乳中の人
断食は宗教的儀式から変化して近年、医学的根拠に基づき健康の維持増進のために発展してきました。みなさんも体験してみてはいかがでしょうか。身体の変化を実感できるかもしれません。
ただし、ルールに従い無理はしないように行ってください。
